国内は、従来からの少子高齢化に加え、2019年4月より施行の働き方改革関連法案の影響からか、企業の人手不足感が継続しています。
介護業界については、2019年の老人福祉・介護事業の倒産件数は過去最高水準となっています。
このような状況下、当社は従来の求人や外国人人材確保に向けた調整、計画的な研修会実施による職員の生産性の向上に加え、複数事業所を持つメリットを活かした、適正を見極めた上での職員配置を継続致しました。2019年10月の介護報酬改定で開始された、特定処遇改善加算についても全事業所で算定を行い、職員定着の動機付けの一つとしています。
また、営業の基盤となる入居の確保については、ポスティングやWebでの情報配信等の営業活動の他、医療機関や介護事業所、地域包括支援センター、町内会など地域の皆様との関係構築を継続しています。ご入居者様からのご紹介による入居のご希望にも的確に対応しております。
また、入居時だけでなく入居後の顧客ニーズにも応じた事業所内、事業所間両面を選択肢に入れた住み替えの提案等により、サービスの需要供給両面からの調整を継続致しました。
以上から、2020年3月末で全施設平均入居率約93.8%を確保いたしました。
高齢者介護業界における老人福祉・介護事業の倒産件数は高止まりの状態で、今後も厳しい状況は続くと考えます。
倒産した事業者の主な特徴としては、一部例外を除けば小規模で設立から日が浅い事、業種は訪問介護、通所・短期入所介護である事が挙げられます。これらは、顧客確保しサービス開始した後の利用維持が難しい業種です。季節の感染症の影響による欠席も大きなリスクです。これに対し、当社の主な業種である介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)は、入居中はサービス利用とほぼ同義で、顧客確保後のリスクは小さく安定的です。
今後は、淘汰を切り抜けた少数の事業者に高齢者が集中し、これを支える人材の確保が難しい状況が一層進んでいくと推測されます。団塊の世代の要介護者が急増する事で、相対的な介護人材不足に陥る、いわゆる「2025年問題」が間近に迫っています。
介護従事者の不足に対し、政府は新たな処遇改善を始めとした様々な施策に加え、2019年4月より外国人の在留資格「特定技能」を追加し、介護業界についても外国人雇用の枠組みを広げていますが、必要数を満たすものではありません。
当社と致しましては、これら状況を踏まえ、既にミャンマーからの人材に関わる諸調整と、「北京江山イ年養老服務有限公司」との業務提携を踏まえた人材確保を進めております。また、新規の採用だけでなく既存の職員に対しましても、社内の計画的な研修会の開催や社外研修会の参加促進による資質の向上と、複数の施設を持つ弊社の特色を活かした適材適所の人員配置により、サービス品質向上と人材の定着に引き続き取り組んでまいります。