WebIRに向けて

札幌証券取引所 理事長 小池 善明

札幌証券取引所 理事長 小池 善明

ごあいさつ

北海道経済については景気判断として穏やかに回復基調にあるとされ、旺盛な国内外観光客数の増加、再生可能エネルギーや先端半導体など新産業誘致の活発化など、今後は全体として景気持ち直しが続く局面にあると思われます。

上記のような環境下、政府においては国民には個人資産形成のため投資教育やNISA拡充などの具体的な政策が打ち出されてきており、企業に対しては企業統治改革や資本効率の改善など株主を意識した改革を求めており、道内においても企業は資本強化面のみならず人材確保や知名度アップ面の価値も認識して企業の統治改革や新規上場への関心が高まっております。

本所といたしましても、これに対応して市場改革、制度見直しを進めるとともに、今後投資家向け各種セミナーや企業成長のための勉強会開催などを活発化させて参ります。

また一般投資家の皆様への道内上場企業の情報提供として本所ウェブページの内容充実を進めつつ、再開したリアル開催方式の「個人投資家向け会社説明会」(IR)を札幌のほか道内主要都市や首都圏においても積極的に開催するとともに、近年より行っているセミナー内容のWEB配信も平行拡大しながら、幅広い投資家層の方々に伝わるように、情報発信手段の多様化を図って参りたいと考えております。

札幌証券取引所は、東京以北唯一の証券取引所として北海道における資本市場の活性化による「企業価値向上」を図り、北海道経済の発展に寄与していく所存であり、今後も広く皆様のお役に立てるように努めて参ります。

北海道財務局 局長 大久保 誠

北海道財務局 局長 大久保 誠

北海道経済の更なる発展に向けて

【経済情勢】

日本経済の現況をみると、物価上昇や海外経済の減速等の影響はありますが、緩やかに回復しつつあります。

コロナ禍で大きなダメージを受けた北海道経済においても、現状は概ね改善傾向がみられ、道外や海外との人の往来が増加しております。一方で、急激な景気回復による企業の人手不足感に厳しさがみられるほか、各種物価上昇の影響は長期化しております。

こうした中、北海道の基幹産業である第一次産業では、AIなどの先端技術を活用して省力・省人化を推進しているほか、「食」の関連産業では付加価値の向上など生産性を高める取組がなされています。

また、「観光」も北海道経済において重要な産業と位置付けられているところ、本年9月には「アドベンチャートラベル・ワールドサミット」が札幌で開催されます。このサミットを通じて、「長期滞在しながら、自然・アクティビティ・異文化体験を楽しむ」という新しい旅行形態とともに、冬だけではない北海道の魅力が世界中の旅行者に認識されることにより、北海道経済が更に発展していくことを期待しています。

【金融行政等】

今夏よりゼロゼロ融資の返済が本格化している中、原材料高騰などの影響もあり、事業者は依然として厳しい状況に置かれていることから、金融機関においては事業者支援や地域の活性化に向けた様々な取組を粘り強く継続していただくことが重要です。

具体的には、個々に様相の異なる事業者のニーズをしっかりと把握し、事業性評価に基づく融資と経営改善・事業再生・事業承継の支援等を通じて、地域企業の生産性向上や地域全体の活性化を図ることが期待されます。

北海道財務局では、従前より事業者支援態勢の強化を目的としたネットワーク構築に努めておりますが、本年度もこうした地道な取組を継続し、金融機関や支援機関の活動を支えてまいります。

また、政府の掲げる「資産所得倍増プラン」の実現に向け、来年1月に開始が予定されている「新NISA制度」の周知や金融経済教育の普及にも併せて取り組み、地域へ貢献してまいります。

【札幌証券取引所への期待】

札幌証券取引所は、開設以来、地域に根差した取引所として企業の円滑な資金調達に携わり、道内企業の育成・発展に貢献されてきました。

現在、北海道経済はコロナ禍からの回復期にありますが、引き続き、札幌証券取引所が魅力あふれる企業を育成し、投資家が安心して取引できる場を提供すること等により、北海道経済に大きな役割を果たされることを期待しています。

日本銀行札幌支店長 岡本 宜樹

日本銀行札幌支店 支店長 岡本 宜樹

北海道経済のダイナミズム拡大に向けて

北海道は、食と自然の並外れたポテンシャルを活用し、発展を遂げてきました。新型コロナウイルス感染拡大の影響が払しょくされる中、この分野での追い風はまだまだ続くものと期待されます。

また、今般、次世代半導体の量産を目指す大規模工場の建設が決定されました。今後、建設や物流、雇用などでの直接の効果は当然として、半導体産業を核とする関連産業の集積が展望されるところです。

気候変動対応、脱炭素が国家レベル・世界レベルの課題となる中、当地の再エネのポテンシャルが新たな成長エンジンになりつつあります。さらに長い目では、東京五輪のマラソン競技の札幌開催をめぐる一件からも、国土の重心が冷涼な北方にシフトしてくることは明らかではないでしょうか。

足元、原材料価格の高騰や人手不足など、企業にとっては、厳しい状況が続いていますが、北海道経済には、中長期的にみて、これまで経験したことのない需要拡大の追い風が吹いています。これにこたえる供給面が根本的な課題となってきます。人口減少の進む中、人的資源の確保が最大かつ切実な課題ですが、企業活動を支える設備や、産業基盤そのものについても需要に見合うだけの充実が求められることとなります。

限られた経済資源を新たな成長に活用していくためには、資源配分の見直しが必要です。人の面では、人的資源の希少性が増す中、より高い賃金の支払いに耐えうる、高付加価値分野への労働投入のシフトが進むかどうかが問われます。資本の観点からも、豊富な投資機会をいかに評価し、機動的に対応するかという判断の重要性が増していきます。これがスムーズに進むことによって、経済のダイナミズムの拡大への道筋が開かれ、就業機会が充実すれば人口流出も緩和されていくと思われます。

資本の面で資源配分の中核をなすのは、資本市場、証券取引所です。特に、ローカルな評価軸による投資機会を発見し、資源配分を進めていくためには、地方証券取引所による、中小事業者の資本調達機能が重要となってきます。札幌証券取引所においては、2000年に中堅・中小企業の育成とステップアップを目的とする「アンビシャス市場」を創設したほか、企業の成長・上場支援に関する勉強会等の主催など、様々な努力を続けてこられました。北海道が新たな成長機会に直面するにあたり、企業の活力を引き出す存在として、今後も札幌証券取引所がご尽力・発展されることを期待しております。

経済産業省北海道経済産業局 局長 安藤 保彦

経済産業省北海道経済産業局 局長 岩永 正嗣

北海道経済の発展に向けて

世界中での感染拡大以降、新型コロナウイルス感染症との戦いは、今もなお続いており、地域経済に大きな影響を及ぼしています。また、ロシアによるウクライナ侵略などの影響による原材料等の不足や原油価格の高騰など、我が国経済は先行きが不透明な情勢が続いています。

こうしたなか、政府においてもさまざまな課題解決と経済成長を同時に実現しながら、経済社会の構造変化に対してより強靱で持続可能なものに変革する「新しい資本主義」を起動するため、人材や科学技術、デジタル、グリーンなどの分野に重点的に取り組むこととしています。

私ども北海道経済産業局といたしましても、中小企業等の事業環境整備や事業継続の取組に機動的に対応するとともに、DXの推進による地域企業の生産性向上と競争力強化や、全国トップクラスのポテンシャルを有する北海道における再エネの最大限の導入を目指し、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組みます。また、農林水産物・食品の輸出やスタートアップ支援、中長期的な成長が期待できる宇宙、バイオ、新たなモビリティーサービス(MaaS)、ドローン関連産業の推進を通じ、地域経済活性化に努めてまいります。

なかでも、スタートアップは、経済成長の原動力であるイノベーションを生み出すとともに、さまざまな社会課題の解決にも貢献しうるものであり、政府の方針においても新しい資本主義の担い手と位置づけられております。

当局としても、これまで「J-Startup HOKKAIDO」の認定スタートアップ企業を選定し、地域からグローバルな活躍を目指す企業の見える化を図るとともに、専門家による課題解決や、大手企業・VCとのアライアンスや資金調達などのマッチング支援に取り組んでまいりました。

政府として国内スタートアップへの投資額を5年後までに10倍に増加することを目標とするなか、北海道におけるスタートアップの直近の資金調達額は、前年比約2倍になっており、ファンドの規模も増加傾向にあります。

かかる動きを更に加速すべく、私どもとしても、今後もシード・アーリー期におけるスタートアップの課題解決やマッチング支援に加え、スタートアップが地域や社会課題の解決に果敢に挑戦し、新たな価値を生み出していくことを支援してまいります。

札幌証券取引所におかれましては、地域に根ざした証券取引所として、道内経済の活性化や新たな産業の創出に大きく貢献してこられました。今後も、資金調達の円滑化や地域経済を牽引する有望なスタートアップ企業の育成や上場支援、さらには道内外の投資家への情報発信など地域のコーディネート機関として、益々ご活躍されることを期待いたします。